子どものアトピー性皮膚炎は、多くのご家庭で悩みの種となっています。かゆみや湿疹、繰り返す皮膚トラブルに、どう対処すればよいのか不安を感じているママやパパも多いことでしょう。
本記事では、アトピー性皮膚炎の基礎知識から、最新の治療法、日常生活でのケア方法、Q&Aまでわかりやすく詳しく解説していきますので、最後までお付き合いください。
目次
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アトピー性皮膚炎とは?
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子どものアトピーの特徴
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主な原因と発症のメカニズム
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よく見られる症状
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診断の流れ
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治療の基本方針
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薬物療法について
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スキンケアの重要性と方法
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食事・生活習慣の工夫
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保育園・学校生活で気をつけたいこと
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家族のサポートと心のケア
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よくある質問(Q&A)
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まとめ
アトピー性皮膚炎とは?
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が慢性的に繰り返される皮膚の病気です。乳児期から発症することが多く、子どもの10~15%が発症すると言われています。
遺伝的な要因や環境要因が複雑に絡み合って発症し、完全に治すことは難しいものの、適切な治療とケアで症状をコントロールすることができます。
子どものアトピーの特徴
年齢による違い
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乳児期(生後2ヶ月~2歳)
顔や頭、体幹に赤みやジュクジュクした湿疹が現れやすい。 -
幼児期(2~6歳)
首や肘、膝の裏など、関節の内側にかゆみの強い湿疹が出やすい。 -
学童期以降
皮膚が厚くゴワゴワし、乾燥や色素沈着が目立つことも。
子ども特有の悩み
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かゆみで夜眠れない
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掻き壊しによる傷や感染
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見た目の悩みや心理的ストレス
主な原因と発症のメカニズム
遺伝的要因
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家族にアトピー、喘息、アレルギー性鼻炎などがある場合、発症リスクが高まる。
環境要因
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ダニ・ホコリ・ペット・花粉などのアレルゲン
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乾燥した空気や汗、衣類の刺激
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食品アレルギー(乳児期に多い)
皮膚バリア機能の低下
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皮膚の「バリア機能」が弱く、外部刺激やアレルゲンが侵入しやすい。
よく見られる症状
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強いかゆみ
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赤み、湿疹、ジュクジュク
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皮膚の乾燥、カサカサ
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掻き壊しによる傷、かさぶた
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色素沈着や皮膚の厚み
診断の流れ
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問診
家族歴、症状の経過、生活環境などを詳しく聞きます。 -
視診
皮膚の状態を観察します。 -
アレルギー検査
必要に応じて血液検査やパッチテストを行うことも。
治療の基本方針
アトピー性皮膚炎の治療は、「薬物療法」と「スキンケア」の両輪が大切です。加えて、生活環境の整備や食事の見直しも重要です。
薬物療法について
ステロイド外用薬
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炎症を抑える効果が高い
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きちんと医師の指示通りに使えば安全です
タクロリムス軟膏(プロトピック)
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ステロイドが使いにくい部位や長期間使う場合に使用します。
抗ヒスタミン薬
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かゆみを和らげる内服薬です。
その他
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感染症を合併した場合は抗菌薬を使用します。
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重症例では免疫抑制剤や生物学的製剤が使われる場合もあります。
8. スキンケアの重要性と方法
保湿
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乾燥はアトピー悪化の大きな要因のひとつです。
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入浴後すぐに保湿剤を塗ること
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1日2回以上の保湿が理想的です。
入浴・洗浄
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石けんは低刺激のものを選ぶ
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タオルでゴシゴシ洗わずに、泡で優しく包み込むように洗ってください。
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入浴後はすぐに保湿を心がけましょう。
衣類・寝具
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綿素材など肌に優しいものを選ぶ
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洗濯洗剤も無香料・低刺激を選ぶようにしましょう。
食事・生活習慣の工夫
食事
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食物アレルギーが疑われる場合は医師と相談を
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無理な除去食はNG
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無理ない範囲で、バランスの良い食事を心がけるようにしてください。
生活リズム
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十分な睡眠
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ストレスをためない工夫
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適度な運動を心がけましょう。
保育園・学校生活で気をつけたいこと
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先生にアトピーの状況を伝えておく
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保湿剤や薬の持参・使用について相談
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可能であれば、プールや運動後のケアも先生に相談しておくといいでしょう
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かゆみや掻き壊しがひどい場合は早めに受診してください
家族のサポートと心のケア
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子どもの気持ちに寄り添う
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「掻くのはダメ!」と叱らず、気持ちを受け止める
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兄弟姉妹や家族全体で協力
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必要に応じてカウンセリングやサポート団体の利用も
よくある質問(Q&A)
Q1. アトピーは治りますか?
A. 完全に治ることは少ないですが、成長とともに症状が軽くなるケースが多いです。
Q2. ステロイドは怖い薬ですか?
A. 医師の指示通りに使えば安全です。自己判断で中止や減量しないことが大切です。
Q3. 食事制限は必要ですか?
A. 医師の指示がない限り、無理な除去食は逆効果です。
Q4. 保湿剤はどれがいいですか?
A. 子どもの肌質や症状に合わせて選びましょう。迷ったら皮膚科医に相談を。
まとめ
子どものアトピー性皮膚炎は、家族みんなで取り組むことが大切です。正しい知識と適切なケアで、子どもも家族も笑顔で過ごせるようにしましょう。
困ったときは、皮膚科医や専門家に相談することをおすすめします。
この記事が、子どものアトピーで悩むご家族の一助となれば幸いです。
参考文献・関連リンク
日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」
厚生労働省「アトピー性皮膚炎について」
各種患者会・サポート団体
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